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新約聖書に出てくる、サロメを題材にした戯曲を思い出した夏休みの夜。ひどく利己的で、汚くて、性にまみれた愛だなと思った。そしてなんとも刹那的である。

たまにはそんな愛も悪くないし、サロメの気持ちもなんとなくわからなくもないと思ってしまったけれど、できればわたしはきれいな愛に首まで浸かって生きていきたい。

もし自分のそのときの判断のせいで、その後の人生でその人に一生会えないとしても、逃がせるものならば逃がしてあげたい。首はいらないし、キスもいらない。できれば感謝のしるしにぎゅってしてから逃げてほしいけど。

自分のしたことでその人がこの先ずっと生きていけるなんて、その事実だけで自分も生きていける気がする。そのときぎゅってしてから逃げてくれればなおさら。つまりはぎゅっとしてほしい。ぎゅっとしてから逃げてくれたのむ。